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天井スピーカーは、実はあんまり鳴っていない?【アトモスの真実】

天井スピーカーは鳴らない

映画をドルビーアトモスで再生中、天井(トップスピーカー)に耳を近づけても、スピーカーを触っても、完全に無反応な時間は意外と多い。

5分間無音とか普通にあるよ。

えいが子
えいが子
アトモス天井スピーカー、実はあんまり鳴ってない疑惑

もちろん作品によっても大きく違う。

あと音量もみんながイメージしてるのと比べたらめちゃ小さい

サラウンドがそもそも音の合成で成り立つわけだから当然なんだけど、それにしても結構大音量で楽しむ派のぼくとしては、全体の音量の中でこんなに小さくて埋もれないの…効果出るの?と心配になるほどだ(^^)/

「アリースター誕生」の天井スピーカーは?

アリースター誕生のタイトル
出典:アリースター誕生

音楽作品の「アリースター誕生」の場合、 136分の映画で、印象的に鳴るのは、オープニングタイトルが表示されるところと、ライブのシーン10箇所くらいなものなんだ。

これは意図的にそのように作られてるっぽい。

各ライブシーンが始まるところで、観客の歓声がやや大きめのボリュームで鳴る。

これによって「さぁ、メインの音楽のシーン始まりますよ~」というメッセージを感じる。

そのあとレディーガガが歌い出すと、歓声は小さくなり、本人の声のサラウンドっぽい音が極小さめの音量で鳴る感じ。

これでライブ感を出してるようだね。ここでは音量は小さいけど常に鳴る。

音楽以外のシーンではほぼ無音が続く。

普通に登場人物が会話したり、生活してるシーンでは音量が小さいというより完全にミュートされている

通常の人間ドラマメインの映画ではほとんどそうみたいだね。

その中でも印象的だったのは、ジャクソンがライブ後にお酒に酔ってフラフラになって車に乗り込んだシーン。

ここはとても静かな場面なんだけど、天井のスピーカーからキーンという、モスキート音みたいな不快な音がする。

これによって見ている人に、泥酔したような体調の悪さを伝えてる。

へー、こういう使い方もあるのね。と感心した。

メリハリなく常に鳴るより、ここいちばんでインパクトが欲しいときに鳴るというのもアトモスのトップスピーカーの役目なんだね。

人間ドラマ系の映画はだいたいこんな感じ。

くろかわ
くろかわ
ざっくりだけど、この作品で鳴ってる時間は3割以下
えいが子
えいが子
えー…意外だね。
アトモスって常に鳴るから立体音響なのかと思ってた

アリースター誕生は音楽ライブ作品として、ライブシーンでは効果的にトップスピーカーを使っている。

音響のいい映画作品として賞をとってるから、アトモス環境ある人には非常にオススメの作品だよ。リファレンス用にBlu-rayを持っていても損はない。

これがAmazonで1000円で買えるいい時代(^^)/

「マッドマックス」の天井スピーカーは?

マッドマックスのBlu-rayソフト

ぼくの持ってる作品では「マッドマックス」がわりとトップスピーカーが鳴る。

基本的に全篇を通してトップスピーカーをミュートしない作り。音量や効果はまちまちだけど常に動作してる作品。

やっぱりどうしても、派手なアクション映画とか、SFっぽい作品のほうが積極的にトップスピーカーを鳴らす必要があるんだろうね。

マッドマックスオープニングタイトル
出典:マッドマックス~怒りのデスロード~
マッドマックスのアトモス音声のウリは身体の芯に響く低音
このタイトルも重厚な金属音を響かせるのだけど、ここではトップスピーカーは鳴らない。
なんとなく、重厚な低音を表現する時はあえて天井鳴らさない傾向があるように感じたよ。

最初のシーンで、主人公の脳内で幻聴が聴こえるような場面がある。

「マックス…マックス…」と囁きかけてくる描写。こういうときは天井から音がでる。

しかも音量も大きめだ。

今回よく判ったのは、人間にとって頭上からの音は、聞こえづらいけど敏感ということ。

太古の昔から、動物の生存本能として頭上の音は危険を感じるようにDNAに刷り込まれているのかもね。

だから、見てる人を怖がらせたいとき、驚かせたいときに、刺激的な音をトップスピーカーから出すようにしてるようなんだ。

上方向からの音を表現しようとして、あざとく鳴らすシーンって、注意して見ているとそれほど多くないことに気がつく。

レディプレイヤー1という映画で頭上で大爆発が起こるシーンでは、流石にトップスピーカーからかなり強い音量が出た。

でもそれはアトモスの天井スピーカーの鳴りかたとしては珍しい。

それどころか上からの音が必要に思えるシーンで、トップスピーカーを鳴らしていないことがけっこうあって驚いたくらいだ。

出典:マッドマックス~怒りのデスロード~

例えば、民衆に対して50メートルぐらいの高さから放水するシーン。

ぼくみたいな素人考えでは、これは絶対にトップスピーカーが鳴るだろう…と構えてるわけ。

でも、まさかのほぼ無音。既存の5.1chスピーカーで表現してる。

多少ちょろちょろは音出てるけど…

えっ!という感じ。

それどころか、悪人が崖から真っ逆さま!悲鳴とともに下に落ちていく時に、天井のスピーカーから「うわぁ~~」という断末魔が鳴った。

出典:マッドマックス~怒りのデスロード~
くろかわ
くろかわ
高さ表現を引き算で錯覚させるのだろうか… 知らんけど
えいが子
えいが子
適当なこと言ったらあかん!でも想像してたのと違う鳴りっぷりということはわかった
くろかわ
くろかわ
ざっくりだけど、この作品で鳴ってる時間は9割ぐらいかなぁ…

マッドマックス~怒りのデスロード~ はトップスピーカーが常に鳴るタイプの作品だ。

この記事がタイトル詐欺みたいになっちゃうけど、こういう作品もある。トップスピーカーを活躍させたい人にはいいね。

高さや、立体感の表現は少なく、恐怖!、臨場感!リアル!の演出に鳴らしてる感じがしたよ。

アトモス特有の分厚い低域~中域の音響チェックにも使えるよ👇

えいが子
えいが子
天井スピーカーがどのくらい鳴ってないものなのか、ちょっとYouTubeに動画アップしてよ
くろかわ
くろかわ
チャンネル登録者がたしか…6人ぐらいいてくれたからな!よし頑張るぞ!

※近日中に「ドルビーアトモスのトップスピーカーが1分間の中で1回だけちょこっと鳴るみたいな動画」をYouTubeにアップ予定。
実験方法としては、トップミドルスピーカー以外のケーブル接続を全て外すだけ(笑)

そうすると天井のスピーカーだけ鳴る状態になる。

これ余談だけど、例えば7.1.2chのシステムでいちばんサボり気味なスピーカーはサラウンドバックの2台らしいよ。

ぼくのシステムは5.1.2ch(トップミドル)と7.1ch(サラウンドバック)を両方たのしめるように9ch分のスピーカーを設置している。どちらもメリットデメリットがあるんだ。

えいが子
えいが子
最近少し見てくれる方増えてきたじゃん、YouTube動画…
くろかわ
くろかわ
Atmosは遊んでいる人の情報が少なすぎるのでクオリティはともかくお伝えしたいのよ

*YouTubeアップした(^^)/

が、鳴らないシーンを撮影していてあまりにもつまらない(動画として成立しない)ため、けっこう激しい戦闘のシーンを撮影することにした。これでもかなり鳴ってるほうだからね!

トップスピーカーのみって退屈…

まとめ、つまりドルビーアトモスって何だろう?

バギーが頭上を飛び越える
出典:マッドマックス~怒りのデスロード~
有名な、バギーがリスナーの頭上を飛び越えていくシーン。
ここの効果はさすがアトモスと感じるけど、true-HD5.1chで聞いてもいい音だ。

天井スピーカーの音だけを個別に聴いてみるという行為は、かなりアホらしいけど、ドルビーアトモスってなんだろう?という根本的な理解のためには避けては通れないと思う。

分かりやすい上方向からの音よりも、街の雑踏の音、人の叫び声、怖さの表現、音楽ライブの歌声や歓声などが多いことを知る。

しかもそれは作品によるけど半分以上の時間は鳴らないし、鳴っても音量もわずかだったりする。

しかしメディアの情報しか知らないと…

チャンネルベースの5.1ch⇒平面的に広がる音響

オブジェクトベースのアトモス⇒高さ方向に常に立体音響

こういうのが、一般的に世の中にアピールしているサラウンドイメージだ。

でもいろいろ作品をみたり、いろいろなフォーマットで比較視聴していると、

家庭用アトモスの場合、最高でもBlu-rayのドルビーtrue-HD方式の音声だから、従来のチャンネルベースのドルビーtrue-HD 5.1chでも音質は同等レベル。

立体感の表現はもうすでに、5.1chでそこそこできてたんだと気がつく。音は上下も含めて広範囲に広がるのだから、5.1chが平面的な表現しかできないわけがないのだ。

じっさいぼくの部屋でもトップスピーカーをオフにして、サラウンドスピーカーをやや上の方に設置しなおして、5.1chスピーカー構成でドルビーアトモス音声を、*ハイトバーチャライザー機能をオンにして聞いてみると、ぶっちゃけ、あんまり差がわからない。
*正式名称は「Dolby Atmos Height Virtualizer 」2020年ぐらいからのアトモス対応アンプは全て搭載している機能で、トップスピーカーなしでも、変わらずアトモス音響楽しめますよという新機能。(最初はホントかよ…とおもったけど)

えいが子
えいが子
差がわからないと言っちゃう音響サイト管理人ってどうよ?

「ぼくの映画館」使用モデル👇

ホームシアターサラウンドも5.1chが主流になってからの歴史が一番長いし、作り手の技術で越えてきた良質なサラウンド作品もあったわけで…👇️

しかしさすがに5.1chの場合、完全に頭上の表現となると難しかったものが、アトモスの天井スピーカーを設置することでわかりやすくなったという感じはある。

アトモスの音響イメージを、ぼくは勝手に高さや立体感にフォーカスしすぎてたのかもしれない。

実態は、抜群の定位感からくる、あきれるほどのリアリティ。

そこにモノがあるとか、移動感がはっきりわかるという感じだ。

そして何故か低音の迫力が凄い…ブ厚い音がカッコイイ(^^)/

このあたりは理由を誰も語ってくれないのだけれども…

そういえばドルビー公式も言ってた、日本に導入されたころ、2012年とか?

「天井はだいたいでいいよ~、まぁ2組あるにこしたことないけどね。」

という曖昧な表現をしていた。「オブジェクトオーディオの天井スピーカーは融通が利く」だったかな?

これはぼくにとって結構印象に残った言葉だった。

くろかわ
くろかわ
えっ、天井スピーカーが超重要なんじゃないの?…

こっちは趣味でやってるから、そういうの困るわけ(笑)

もっと「必ずこの場所に!〇〇度以内に設置しなさい!」とか厳しく指示出してほしいわけよ。

いい音響のために全力でいきたいじゃん!夢中だから。

でも今ならなんとなくわかる(^^)/

つまり、アトモスの凄さは天井にスピーカーがあることではなく、オブジェクトベースであるということのほうが100倍重要なんだ。

たまにしか鳴らない天井スピーカー以外の、基礎の5.1chや、7.1chスピーカーでオブジェクトベースの定位感のある音響が展開されているからこそ、「Dolby Atmos Height Virtualizer 」が違和感なく機能しているともいえる。

そして、AVアンプのチャンネル数の制限があるから現実的ではないけど、天井20本、平面20本のようにスピーカーの数を増やせば増やすほどリアルな表現ができるみたいだよ。

だから、「天井があんまり鳴らない=トップスピーカー要らない」みたいなのには当然反対なんだ、スピーカーは多いに越したことはないから。

でも、「天井設置が困難だから、アトモス導入を諦めました」という人にも、「いや!アトモス化しようよ(^^)/」とエールを送りたい。

アトモスアンプを手に入れればより自然なアップミックス、ドルビーサラウンドが使えるのも大きいメリット👇