天井スピーカー不要でアトモスできるという…噂の「Dolby Atomos Height Virtualizer」機能を実際にいろいろ試したので報告するよ(^^)/
因みに、スピーカーバーチャライザー機能も意味は同じ。
紛らわしいから、ざっくり言うと!
スピーカーバーチャライザー機能は、サラウンドパラメーターという場所で変更することができる👇(DENON、marantz系AVアンプの場合)
直訳になるけど、バーチャル(疑似)的にスピーカーを作り出す機能という感じ。
これをオンにしておくと、下の画面のように、スピーカー構成は従来の5.1chでもアトモス音声を再生できる。
でね!
本来のアトモス音声から、天井スピーカーの成分を無くしたものだったら嫌だよね?損した気分になる。
ところが、これは スピーカーバーチャライザー機能をオンにしているから、足りていない天井のトップスピーカーから鳴るはずの成分を、5.1chに疑似的に振り分けて?(実際に何してるのか詳細はわからん!)アトモスのように鳴らしてくれる。
ドルビー曰く、「天井スピーカーなくてもOK」という強気の姿勢なので、ホントかなぁ…と気になったので聞き比べてみたよ。
この記事が動画になったよ↓
スピーカーバーチャライザーの効果は?
今回もアトモス最強(ぼくの映画館調べ)のソフトで検証👇
今回比較試聴するのは4種類のシステム👇
2ch⇒疑似アトモス
5.1ch⇒スピーカーバーチャライザーをオフにして ドルビーTrue-HD5.1chで再生
5.1ch⇒疑似アトモス
5.1.2ch⇒リアルアトモス再生
次に、トップスピーカーを無しにして、スピーカーバーチャライザーをオフにすると、アトモス音声は入力されず、自動的にドルビーTrue-HD5.1chとなる。いわゆる、アトモス非対応のAVアンプで再生した状態だ。
そして、 スピーカーバーチャライザーをオンにした、アトモス5.1ch
そして通常のアトモス5.1.2chだ。
スピーカーバーチャライザーの実験結果を公開
まず、青いマーカーの2chアトモス。
これがいちばんステージも狭く、立体感もいまいちだ。
そこから⇒黄色⇒ピンク⇒赤の順でサラウンド感は良くなっていく。
とりあえず、理屈と聴覚上のサラウンド感は一致した。あたりまえと思う人もいるかもしれないけど、音響はそうならないことも多い世界なんだよ。
まず、青のステレオアトモス音響なんだけど…
ドルビーやメーカーには申し訳ないが、「ステレオでも同じようにアトモス体験できます」はちょっと無理がある。
赤のリアルアトモスとの差はかなりある。
サウンドバーとか、アトモスのロゴが入ってる高級な液晶テレビってこの青の状態に近いと推測する。
しかし、音声がアトモスなので、普通のステレオ再生と比べると、モノの移動感と定位感はさすがに強く感じる。これは映画を観るにはいいね。
でも図にも書いた通りでステージが狭い。後ろは音を感じないなぁ…
ぼくの5.1.2chシステムはとてもミニマム。
このように世界最小級アトモスだから、サラウンドを表現するときに、音が◯◯cm後方から…という解説もみんなのサラウンドよりややミニマムな表現になるのはご了承いただきたい。
2chアトモスの場合は、飛行物体は真横あたりからいきなり画面にフェードインしてくる感覚。それまでの後方からの接近してくる過程は表現されない。飛んでくる高さはこめかみあたり。
黄色5.1chからは右後方60cmぐらいのところから迫ってくる過程も感じられる。
高さ方向は2CHより20cmぐらい上がる。ピンクになるとさらに20cm、赤のリアルアトモスだとさらに10cmと何度も聞き比べてみたが、飛行物体の飛ぶ高さの表現は良くなっていく。
このシーンは、特に強めにトップスピーカーから爆発音が鳴る。
だから擬似アトモスとの差が顕著に出るのではないかという、ちょっとズルい気持ちで選んでみた。
青は左側で爆発が起こる。高さ方向はせいぜい目線のやや上ぐらいというステレオの範囲だ。
黄色はやや後方の、サラウンドレフトの高い位置から音がする。
ぼくの5.1chのサラウンドスピーカーが、やや高めの位置にある影響だと思う。
従来の5.1chシステムではサラウンドスピーカーを上方に設置すると自然なサラウンド感と高さも表現しやすくなるよ👇️
ピンクは左側正面、フロントスピーカーの上60cmぐらいの所で爆発する。
60cmというのは、ぼくの貧乏アトモスのスケールであって、プロジェクターなどで100インチ投影した映画の世界観の中では、視覚による錯覚補正もあるから10mぐらい上のほうで爆発してるように感じるよ。
赤は流石にもろに頭上で爆発する。
うかつにスマホなどをいじっていると頭上の爆音にびっくりする。
多くの人にわかりやすいアトモス感ってこれだろう。
ここで注目すべきはピンクだ!
よっぽど強くトップスピーカーが鳴るシーンを除いて、ピンク⇒赤の差は普通の人にはほとんど聞き分けることはできない差と思う。
普段からリアルアトモス5.1.6などで楽しんでいる人が聴いたらわかるのかもしれない。
そもそもドルビーも天井スピーカーは4つ以上が望ましいと言っている。
ぼくのシステムの天井2つというのが、高さ表現は差がでても定位感についてたいして差が出なかった要因かもしれないね。
今回検証できたのも、わざと積極的にトップスピーカーが強めの音量で鳴る部分で比較したからで、通常のシーンではぼくには完全に同じ音に聞こえたよ。
「オイラのホームシアターは、天井にスピーカーが付いている!」というブラシーボ的な心理が作用してるような気もするね…
実際リアルアトモスで映画みてると、とても高さ表現を感じるシーンで「流石にトップスピーカーあると違うなぁ…」と感心してから、再度そのシーンのトップスピーカーだけの音を聞いてみたら、実は全く鳴っていないということはけっこうある。
Dolby Atomos Height Virtualizerがあれば天井スピーカーは不要?
さらにバッチリ決まった7.1chシステムをもってる人なら、天井スピーカーが無くても、Height Virtualizerオンの7.1chアトモス音声再生ができれば、確実に今より良好な結果になるはず。
今回の結果を踏まえて、
7chのドルビーアトモス対応アンプを持っているなら、定番の5.1.2chではなく、7.1chアトモスにも挑戦してみてほしい↓
実験でピンクで示した、Height Virtualizerオンの5.1chアトモスはかなりいい線いってる。
リアル5.1.2chアトモスに比べ、
高さ表現の最高到達点はかなわないものの、定位感は同じレベルでしっかりしてる。
むしろ、水平方向に限れば音の密度感が上がってる気がする。
もちろん、製作者の意図を汲むべきだから、リアルアトモスが正とするべきなんだろうけど、
この音密度のしっかりした状態を、リアルアトモスよりいい音と感じる人もいるだろうなぁ…というレベルにまできてる。
逆に、へんなトップスピーカーつけると、音質では負けるかも…
まとめると、
趣味で自由にやれる環境があるならリアルアトモスがいいと思う。天井が鳴るというロマンがあるよ。
しかし、天井にスピーカーを取り付けることができない環境でなるべく高音質のホームシアターをという人は、Height Virtualizerをオンにして5.1chや7.1chシステムで擬似アトモスにしたらさらに映画は楽しくなるよ。
積極的にトップスピーカーが鳴るシーン以外では、ほとんどの人は違いを聞き分けることはできないような差だからね。
これは無視できる範囲だと断言できる。
そして、そもそもアトモスのトップスピーカーはあんまり鳴らない作品も多い👇️
庶民の映画音響サイトの管理者として、
「Height Virtualizerがあるから天井スピーカーは要らない!」とは言いたくない。
ベストは天井も含めたリアルアトモスと信じてるから。
「天井スピーカー設置ができないなら、ドルビーアトモスなんか成立しない」と思い込んで、ホームシアターで5.1chから先に進めない…と悩んでいる人に、少しでも参考になったかな?
これはハイトスピーカーや、イネーブルドスピーカーについても同様に考えられる。
ぼくとしてはこのようなことを踏まえて、アトモスアンプをまだ導入していない人の背中を押してあげたいんだ(^^)/
アトモス対応アンプを手に入れて、天井が厳しいなら、まずは5.1ch、または7.1chアトモスからでも初めてみないかい?
それは正真正銘のアトモス音声フォーマットなのだから。
ぼくの映画館使用モデル👇